- アパレル業界興味あるけど先行きってどうなんだろう
- アパレル業界に居るけど赤字ばっかりで先が暗い
- 何故服が売れなくなってしまったのか業界人の見解は?
アパレル業界に居ない人でも、「服が売れない」って聞いたことありませんか?
業界に居る人はより一層それを感じていると思います。
何故こんな現象が起きているか・・・深堀りしたことがありますか?
今回はそんなアパレル業界に身を置いていた私が真剣に考えてみました!
という訳で、元アパレル小売業にいた近所です(´・ω・`)
アパレル業界から少し離れて業界を見ると、色々意外な事実も見えてきたので元通販担当者でもある経験を思い返しながら解説したいと思います。
※今は転職をして小売からメーカーに移りました。
この記事の目次
アパレルの小売業界・・・実は拡大している
え?売れてなくて縮小なんじゃないの・・・?
矛盾しているように見えますが、拡大しているのはあくまでも「小売業全体」の話です。
国内・国外両方に目を向けて解説していきます。
※下記のサイトを参考に分かりやすく抜粋
海外で規模拡大中の日本企業
ユニクロのようなグローバル企業が海外で成長し、結果的に売上高が伸びています。
業界2位である「しまむら」もアジア圏を中心に進出し売り上げを確保しているため、新規開拓により売上が上がっています。
規模は拡大していますがそれは国内が要因ではなく、海外に進出しての規模拡大となります。
国内では優劣がはっきり出ている
国内に目をやるとどうでしょうか?
先ほど出てきたユニクロ・しまむらのほかにもアドストリア(GROBAL WORK、niko and…など)が顕著に伸びています。
その一方でワールド(INDEX、TAKEO KIKUCHIなど)、TSIホールディングス(ナノユニバース、ローズバットなど)はマイナス成長と明暗ハッキリ。
また参考サイトには出てきていない中小や地域のアパレル企業はダメージも大きいところも少なくなく、倒産なども出てきています。
例:静岡のジーンズショップ「オサダ」の民事再生法適用
拡大企業はファストファッション
上の説明を見て分かるようにファストファッションを主力とする会社が伸びており、ミドル~ハイプライスの会社が落ち込んでいます。
昔はロープライスと言っていた価格帯はもはやミドルプライス。
消費者の価格帯の意識は確実に変わっている。
そんなん昔から言われてたことやん?
最近はその傾向がより一層強くなり強い物が弱い物を食いつくす勢いですね。
2割の勝者が8割の弱者を倒していく・・・無双状態です。
では、なぜこのような事態になってきたのか・・・実例とともにお伝えしましょう!
作業服・雑貨・海外企業の参入で競争激化
これまでアパレル小売りとは違うジャンルだった企業の参入が相次いでおり、ここ数年非常に厳しい競争が強いられています。
作業服業界からおしゃれ作業服の登場
作業服って言われると・・・どんなイメージですか?
- 機能性重視でデザインは二の次
- 野暮ったい・土臭い・ダサい
- ダボっとしてる
こんなイメージだと思います。
しかし、今の作業服はめちゃめちゃおしゃれです。
信じられますか?これ作業服です。
街中でも普通に着ても違和感なさそうなデザインじゃないですか?
元々消耗が激しい作業服は機能性を追求しながらも価格も抑えめなので、ファッショニスタが注目しています。
バイク乗りの方がワークマンの発熱インナーが半端ない!って投稿で一気に火が付いたのは記憶に新しいのではないでしょうか?
▼ あまりの衝撃に記事にしました ▼
雑貨業界から新感覚アイテムの登場
無印良品をはじめとする雑貨業界にも今やアパレルが普通に展開されていて、「無印良品」と言う1つのアパレルブランドと言っても過言ではありません。
元々ホームコーデとして肌触りの良いインナーやタオルなどを展開していたのでその技術を応用したり、雑貨屋ならではの目線での機能性などを入れた商品も多い印象です。
その他にもドン・キホーテが出した価格破壊の690円ジーンズなんかも、アパレルの常識では考えられない価格ですからね。
海外からの激安企業の登場
昔は無かったH&MとかForever21のような海外から激安価格のファストファッションも衝撃でしたね。
カットソーなんて1000円以下、下手すりゃワンコインで買えちゃいそうな値段です。
まぁ・・・その分正直安かろう悪かろうな品質ではありますが、流行り廃りのサイクルが非常に早くなったアパレル業界ではそういうスタイルがマッチしたというのもあります。
通販と言う販売チャンネルの弊害
最近服をどこで買いましたか?
若い世代の方だと「通販で」と答える人も非常に多い時代です。
通販は買う側にとっては非常に便利ですし、小売業界も力を入れてきましたが実はそこに落とし穴がありました。
通販の増加により「ついで買い」「衝動買い」の減少
今あなたが「ベージュのパーカーが欲しい」としましょう。
すると通販だと検索で「ベージュ」「パーカー」を入れて、お?これ良いと思うと購入します。
スタートからゴールまでほぼ一直線ですよね?
昔はお店に行って探して買うのですが、行って見ると
あれ?このロンT・・・安くていいかも!
このお店意外といい物置いてんじゃん!
って目的の物以外のアイテムを買った経験ありませんか?
こういった「衝動買い」「ついで買い」がネットでは難しく結果的に単品狙い撃ち買いが増えてしまいました。
日本全国どこでもブランドアイテムが買える
通販が無かった頃ってBEAMSの商品が欲しい!と思ったら大都市に出るしかありませんでした。
私も経験ありますが、BEAMSのパーカーがおしゃれ!と思ってもわざわざ買いに行けないので近場の量販店で似たようなものを買って自分を納得させる・・・。
ところが今や広島や徳島の片田舎でもネットを経由して買えてしまいます。
ホントに欲しい人は通販で気軽に買えるようになり、私のように偽物(言い方が酷いですが)を買って満足・・・。と言う必要が無くなったわけです。
通販サイトによる「価格」の見える化
通販サイトで買う人が良く見るポイント・・・それは「価格」ではないでしょうか?
「ついで買い」の項目にもつながりますが、お店に探しに行った場合は
ここよりも安いものがあるかも?
って考えてお店巡りしませんでしたか?
ところが通販には価格が思いっきり出ています。
ベージュのパーカーを探すときに「安い順に並べる」ってやりませんでしたか?
もしくは「価格5,000円まで」に絞って探しませんでしたか?
価格がバッチリ見えるのでやはりセール品になると売れる傾向があります。
「おしゃれ」から「消耗品」に変化してきた
アパレル業界は今岐路に立たされて・・・と言うよりも、完全に分岐点を超えてしまったと言ってもよいでしょう。
ブランド物時代の終焉で低単価に
昔はジーンズと言えば「Levi’s」「EDWIN」「LEE」・・・などのいわゆる「ブランド物」が覇権を握っていましたよね?
ところが今はジーンズ一つとってもハイブランドからノンブランドまでめちゃくちゃ数多くの物が登場しており、量販店で1万を超えるジーンズは高い!なんて雰囲気です。
ブランド物が覇権を握っていた時はジーンズ=1万円が割と普通でしたからね・・・。
「プチプラコーデ」なんて言葉もありますが、やろうと思えば上から下まで1万円でそろえる!なんてのも可能な時代に。
完全に一人当たりの購入単価が落ち込んでいます。
機能性を求める時代へ突入
アパレル製品にも「便利さ」「快適さ」・・・いわゆる機能性を求めるようになってきました。
- ボトムは綿100%よりもストレッチが良い
- インナーには防臭や抗菌加工が欲しい
- 季節品には冷感や発熱機能が欲しい
ここで先ほどまでの解説を思い返してみて下さい。
こういった機能面はファッション業界よりも、作業服や雑貨で売られている物の方が優れています。
特に作業服は肉体労働で実際に使うために開発されているので、冷感・発熱・防臭インナーなんてのは正直ファッション製品の比ではないレベルです。
騙されたと思ってワークマンとかホームセンターの作業服コーナーを一回覗いてみて下さい。
私もそうですが今までの作業服のイメージが完全に覆りました。
夏場に外での労働時はもちろん、山登りとか地域のイベントなど夏場の厚い季節にはめちゃくちゃ使える子です。
こんな感じで消費者は機能性が高い物に注目する傾向があり、元々機能性よりデザインだったアパレル業界は苦労しています。
その点ユニクロはヒートテックやブラトップなどうまい事やってるな~と思いますね。
個人間やり取りが活発になり新品需要の減少
メルカリやヤフオクをはじめとする個人同士でのやりとりが活発に。
これまではビジネス用語で言うとBtoCだったアパレルがCtoCも出来るようになりました。
BtoC=business(企業) to customer(消費者)。
CtoC=customer to customer(消費者間)
これによって、わざわざ新品を買う必要がなくなりました。
今年の物なのか?去年の物なのか?よっぽど好きな人でもない限り分かりません。
服にそこまで興味がない人や安く服を手に入れたい人はメルカリやヤフオクを使うようになりました。
ただ、個人間やり取りは人により感覚が違うので割とトラブルになりやすいのも事実。
自分にとっては美品でも、他人から見ると程度が悪い・・・ってこともしばしば。
少子高齢化+劣悪な労働環境が追い打ち
少子高齢はアパレル業界に限ったことでもないですが、単純に買う側の人数が減っています。
特にカジュアル系はどうしても若い世代をターゲットにしていますので、少ない牌の取り合いになります。
また、労働環境も決していいとは言えません。
- 1日中立ちっぱなし
- 人手不足で残業多め
- お客様の目があり気が抜けない
- その割に給料が安い
さらっと挙げただけでもこんな環境です。
買う側の人数が減っている=ターゲットにしている世代の働き手も減っている。
今業界の流れは給料(時給)をあげてアルバイト・パート・契約社員を増やす。
正社員も増やして休みを確保するような動きになっています。
アパレル業界に興味ある方は特化した転職サイトを使うと早いでしょう
ファッション・アパレル業界転職の【クリーデンス】
この話の流れでそれ言うの!?
しかし時給をあげた分利益が取れず経営悪化・・・と前に進んでるのか後ろに進んでいるのかわからない状況です。
ファストファッションの台頭で薄利多売を突き進んでいるため、ちょっとした拍子に会社が傾くなんてことも存分にあります。
転職した私が言うのも何ですが、よっっっっぽど服(orブランド)が好き!って人でもない限りアパレル業界で働くのはおすすめしませんね・・。
店舗需要が0はならない
ここまではお先真っ暗な印象を受ける内容ですが、どれだけネットが盛んになっても実店舗の需要は0になることはないと考えています。
- 実物を見ないと買えない
- 探す楽しみもある
- 店員さんにアドバイスを聞きたい
こんな声は根強くあります。
明日デートだけど、どんな服が合うのかわからん・・・
こんな悩みがあったらネットをいくら見ても何を買えばいいのか・・・踏ん切りがつきませんよね?
やはりお店に行って店員さんに聞いたりしたいものです。
そういう意味ではリアル店舗では店員さんが非常に大きい役割を占めるようになってくると考えています。
その一方で店員さんに接客はされたくない・・・と言う人も多いのでこんなサービスも登場しており、これもアパレル業界からするとライバルと言っても良い業界ですね。
日本初の男性向けファッションレンタルサービス「leeap(リープ)」 オンラインファッションレンタル airCloset定額で洋服をレンタルできるサービス。
アドバイザーさんが選定しておすすめの服を送ってくれる。
まとめ:アパレル業界は陰の時代
今のアパレル業界はここまで積み上げてきたものが全く通用しない時代になっています。
ユニクロのように時代の流れに乗って一気に成長できるところもあれば、もがき苦しんで消えていく企業も数多く見てきました。
強者のみが弱者を吸い取ってぐんぐん成長しているところを見ると、規模が拡大しているとはいえ個人的には明るい将来があるとは思えないのが正直なところです。
- 多チャンネル化についていく柔軟性
- 消費者の著しいマインド変化への対応
- 業界的に低い給料
- 労働環境の悪さからの人手不足
以上、アパレル小売り業界は赤字だらけ!?課題と今後の見込みを元業界人が徹底解説!でした!